秋の夜長
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秋の夜長。 階下から宴のさざめきが聞こえて来る。 やっぱり、こわい。 セイは開きかけた文を遠ざけ、自らを抱え込み、ぎゅっと目をつむった。 どうしよう。 カタンと物音がした。 「・・・。」 音の主は、しぃー、と指を立てながら窓から入り込んできた。 「静かに。やっとのことで原田さん達を撒いてきたんですから。」 沖田は驚いてぼんやりしているセイの顔をのぞきこんだ。 「おや、泣いてたんですか?」 「ち、違います!」 「・・・あんなことするからですよ。」 沖田は言葉に詰まったセイを見て溜め息をつき、頭をくしゃっとなでた。 「だって!だって原田先生が・・・先生の秘密を教えてくれるって言うから。」 沖田はうってかわって厳しい表情でセイを見つめた。 「そんなことで勝敗の見えてる賭け相撲をしたんですか!」 「じゃあ先生は聞けば教えてくれたんですか!?」 「何をです?」 「ここのところ、夕方に一人で何してるんですか。」 セイの問いに沖田はあたふたと目をそらす。 「それはですね、ひ、秘密です。い、いやそんなことはいいんです!ほら、賭けに負けたのだからきちんと約束は守らないと!」 胡散臭そうな目で、セイは沖田を見つめた。 「ほら〜こんな楽しそうな企画、そうないですよ?この文の指示、もう見ました?」 「まだです。」 「いやだなぁ神谷さん。こんなところに文が置いてあったら、読まずにいられますか?私は読まずにはいられませんねぇ。ほら、一緒に読みましょうよ!」 とセイの答えも聞かぬうちに、沖田は文を開いた。仕方なくセイも文をのぞく。 「"好きなのを選べ。"とはどういう意味でしょうか、先生?」 沖田は無言で側にある箱の紐を解いた。 「くっ・・・ぷくくっ。」 「ぶわっはっは!!」 肩を震わせていた沖田は、ついに我慢できず大声で笑い出した。 それもそのはず、箱の中身は世にも素敵な衣装。 メ○ド服やチャ○ナ服だったのだ。 「あんっの助平めっ!」 セイはぷるぷる震える拳を握りしめ、立ち上がった。 「は〜ら〜だ〜先〜生〜!!」 怒りで周りの空気を震わせ、そのまま部屋を勢いよく飛び出していった。 残された沖田は腹を抱えながら、来てよかった、と思った。 やっぱりあんな服を着ている姿を他の誰かに見せるのも嫌だし、それに・・・ちょっと罪悪感もあったから。 「どれが私の注文したものか、ばれてませんよね?」 |
「宙ぶらりん」 |
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